茶の湯では湯を沸かすための火の熾り具合(火相)、湯の沸き具合(湯相)に特に気を配らなければならないとされています。
2020年の春。定山渓第一寶亭留 翠山亭の3階には、そんな茶の湯の想いを重ねた「湯相」フロアが誕生いたしました。
このフロアに新設された二つの特別客室。
その名も「連珠(れんじゅ)」と「松風(しょうふう)」。
どちらにも客室風呂を設置して源泉100パーセントの温泉を引き込み、24時間プライベートな湯浴みをご堪能いただけます。
6センチの秘密
二つの特別客室には、温泉を長くお楽しみいただくため、通常の浴槽の横に寝湯も設置いたしました。
深さはわずか6センチ。
ゆるやかな傾斜にすることでお身体がよりフィットし寝転んでも耳に温泉が入らないようにと、あえて一般的な寝湯よりも浅くしております。
目を瞑って深呼吸したり、音楽を聴いたり、本を読んだり…過ごし方は自由です。
岩盤浴のような心地よさの中で、のんびりとお過ごしくださいませ。
湯上りの一杯
冷えたビールを、湯上りはもちろん自分の好きなタイミングで好きな分だけ楽しめたらきっと幸せ。
そんなことを思いながら、お部屋にはお客様専用のビールサーバーと炭酸サーバーを設置しました。
炭酸サーバーはそのまま炭酸水としてお召し上がりいただくこともできますし、たとえばハイボールの濃さの調節だって自由にできるのです。
冷蔵庫の中には、フリードリンクの飲料とともにジョッキを冷やしてお待ちしております。
サーバーのすぐそばに置いてある急須や茶零しは、自社工房「翠山窯」で制作した特別客室専用の茶器です。
白磁の器には「連珠」「松風」を表現した絵付けで仕上げております。
足元にも、楽しみを
旅館の館内着は、浴衣と作務衣の2種類をご用意しております。
いつもと少し違うお召し物を纏う日には、さりげなく足元にも気を遣いたいものです。
特別客室には、京都のテキスタイルブランド“SOU・SOU”がつくる足袋下を採用しました。
日本一の靴下生産量を誇る奈良県の大和高田市で生産しており、柄の表現力と履き心地を考え、ベースには綿の30番手双糸を使っています。
スタッフは100種類以上の柄から毎日異なるものをご用意しております。
温泉で温まった身体を冷やさぬよう早速身につけていただき、もしお気に召しましたらどうぞお持ちかえりくださいませ。
毎日使うものなら、なおこだわりたい。
非日常を愉しむ場所であっても、アメニティの多くは日用品ですから一人ひとりに慣れやこだわりがあるはずです。
特別客室にご用意する“MOYO”の歯ブラシは、歯科医が設計し10年間歯科医院でのみ使用されてきたアイテムです。
人間工学に基づき開発された、手になじむ磨きやすいフォルムに仕上がっています。通常の歯ブラシもご用意しておりますが、ぜひこだわりの歯ブラシをお試しくださいませ。
50種類以上の柄から毎日異なるものをご用意しております。
「連珠」
茶の湯の世界では、お茶をいれる最適な温度にお湯を沸かす際、湧き水のように泡が連なって湧き上がる状態を「連珠」といいます。
特別客室「連珠」は第一寶亭留の中で最も広いお部屋です。
リビングスペースから寝室まで、160平米もあります。
ですが、私たちは広くて大きなお部屋を作りたかったわけではありません。
温泉を中心とした「過ごし方の充実度」や「快適さ」を一番に考えたのが、このお部屋です。
私たちだけの映画館
お部屋に入ると目に入るのは、大画面に映し出される映像。
お手持ちのブルーレイディスクやYouTubeなどを大画面で鑑賞頂けるようプロジェクターを設置しており、5.1chサラウンドスピーカーが臨場感あふれる演出をしてくれます。
手前の大きなくぼみは、背もたれをほどよい曲線にすることで包まれているような安心感に。
底つき感が少ないふかふかのラグの下には、第一寶亭留が最近オリジナルベッドマットレスに使い始めたウレタン素材を敷いてます。
寝具に使う素材ということもあってか、座っているとなんだかうたた寝してしまいそうな心地よさです。
自分の好きなタイミングで何度も温泉に浸かり、まるで秘密基地のような空間で好きな映画を観る。
「こんな時間を過ごしたいな」をカタチにしました。
「松風」
日本の伝統文化である茶事において、釜の湯が最適な温度で煮立つ湯相の音は、松樹を抜ける音に似るところから「松風」といわれております。
もう一つの特別客室の名は「松風」。
お部屋からは、中庭のちいさな松樹をご覧いただけます。
連珠のようなプロジェクターはございませんが、ブルーレイディスクをお持ちでしたらテレビで映画もご覧いただけます。
夕日岳と星空
アンバーな雰囲気の「連珠」にうって変わって、120平米の「松風」では「夕日岳」を望むロケーションをお楽しみいただけます。
夕日岳とは、定山渓温泉の東に位置し一番遅くまで夕日を受けるところから、朝日岳との対比で名づけられた山です。
ご夕食がはじまる直前まで湯船に浸かって楽しんだり、夜は窓をあけて寝湯に体を預け、星空を眺めたり。出発の朝は、温泉でじんわりと身体を起こしてみてください。
温泉を中心に昼も夜も朝も、長くお楽しみいただけるお部屋です。
湯相七席(ゆあいしちせき)
二つの特別室のある「湯相」フロアには、時を同じくして特別食事処「湯相七席」も新設されました。
湯相七席では、「第一寶亭留の中で一番の料理を目指したい」という想いから、第一寶亭留最高グレード和食膳「一(いち)」というコースが誕生しています。
その話は、またいつか。