ともだちと過ごす時間。(翠巌/301号室)

札幌市・定山渓温泉で『翠巌(すいがん)』が開業してからもうすぐ6か月。
多くのお客様からのご予約を頂戴し、心より感謝申し上げます。
「時間の制約から解放される」ために設計された館内で、ゲストはどのようなシーンを過ごしているのか。
その一部を皆さまにご紹介させて頂きます。




数々の商業施設やホテルの空間プロデュースを手掛け、定山渓でも新規プロジェクトを動かしている宮浦氏と、ダービー優勝馬も輩出するなど、功専調教助手としてGI馬を数多く育て活躍する大江氏。
現役世代ど真ん中の仕事人でもある二人は、高校で出会った25年来の「ともだち」だ。
お互いに仕事も忙しく家族もいる中でなかなか会えずにいたが、予定を合わせて故郷・札幌で再会することにした。

待ち合わせた場所は、定山渓温泉の渓谷の麓に佇む宿「翠巌」。
プライベートスペースのみで構成された宿での滞在は、周りに気を遣うことなく気兼ねなく過ごすことができる。学生時代にタイムスリップしたような気分になれそうだと思い、予約をした。

翠巌301号室「紅葉賀」

今回選んだ客室は、天井も高く開放的。ゆったりとしたリビングスペースが特徴で、窓を開けると川の音が入ってくる。

どこかに出かけてアクティブに遊ぶというよりも一つの場所で落ち着いて話す時間が欲しかった二人は、いつの間にかしっかり大人になったことを実感する。

 

再会の乾杯

アルコールやソフトドリンクが並ぶ小さな部屋「ストレージルーム」は、フロントの横にある。
お酒が好きな2人にとっては、ちょっとした秘密基地のような感覚で楽しい空間だ。

部屋に戻るなり早々に乾杯を済ませ、荷ほどきもしないままに気付けば1時間以上話し込んでしまった。
高校卒業を機にお互いに北海道を離れ、一人は滋賀で暮らし、もう一人は神奈川で暮らしている。普段は密に連絡をとりあっているわけではないけれど、会えばすぐに距離がもどっていく。

 

あの頃の音楽と夕食。

夕食はレストランで、という選択肢もありながら、今回は部屋で夕食をとることにした。

高校時代によく聞いていた音楽を流しながら、周りに気を遣うことなくゆっくり食事を愉しむひととき。
無制限に楽しめた学生時代の放課後のようで、大人になった二人には心地が良かった。

それぞれに温泉に入ったあとも夜更けまで話し込み、オセロに白熱しながら無邪気に笑い合う。
ともだちとの時間は、何歳になってもあっという間に過ぎていくものなのだ。


過ごせる場所は沢山。

湯巡りも温泉地ならではの楽しみ方。
翠巌はラウンジや大浴場がない代わりに、定山渓温泉内にある6つの温浴施設を送迎付きで自由に利用できる。
朝は「定山渓第一寶亭留 翠山亭」の大浴場であたたまり、気持ちの良い目覚めを感じる。

途中、一人がラウンジでリモート会議に参加している間は、もう一つの温泉「森乃湯」に行って朝風呂をひとり占め。
部屋中心の滞在を愉しみながらも、気分を変えたければ場所は沢山あるという自由度が心地よい。
それぞれに11時のチェックアウトまで、好きなように過ごした。


また次のフィールドへ。

話して、飲んで、笑って、湯に癒されて。
1日を通してお互いに良い刺激を受け、じんわりとチャージできた感覚を覚えていた。

街中で会えば、もっとかしこまったり、着飾っていたかもしれない。
自然豊かな定山渓温泉に包まれながら、誰にも邪魔されずにゆったりとした部屋での時間を過ごしたからこそ、学生の頃の関係性のままでいられた気がする。

大きいレースを乗り越えながら優勝馬を育ててきた大江は次の大会に向けて走り出し、宮浦は定山渓温泉をはじめ全国各地で計画中の新たなプロジェクトに向けて動き出す。
それぞれに頑張るために「またここで再会しよう」と誓った朝が、この旅の締めくくりだった。

Profile大江祐輔(右)

北海道日高町出身。馬の調教助手。北海道にある実家が生産牧場であったことから、常に馬と接する機会が多く、幼少期から厩舎スタッフを将来の職業選択の一つとして考える。高校・大学では馬術部に所属し、大学卒業後、牧場や海外の厩舎での研修等、様々な経験を通して、競馬の現場に改めて魅力を感じ、競馬学校厩務員課程を経て、2010年からJRA厩舎スタッフとなる。

Profile宮浦 英典(左)

北海道音更町出身。商業施設、ホテル、オフィス、博物館・美術館、ショールームなどの展示、博覧会・イベントなどプロモーションまで手掛ける空間の総合プロデュース企業に勤務。数々の大規模テナントショップや「定山渓第一寶亭留 翠山亭/炭火食事処 桑乃木」「支笏湖第一寶亭留 翠山亭」「翠蝶館」「フラノ寶亭留」の施工に携わる。